結婚ビザの許可要件

最終更新日:2023年7月22日   行政書士 勝山 兼年





結婚ビザが許可されるとは

 日々、多くの方から結婚ビザについてのご相談をいただきますが、日本国が外国人に対してビザ=在留資格を許可することについての基本的な概念、制度を全く理解されていな方が多くいます。そこで、外国人が日本で暮らすための在留資格制度の概念についてご説明いたします。 在留資格制度とは入管法(出入国管理及び難民認定法)に基づいて外国人が日本に入国・在留して行うことのできる活動等を類型化したものです。




 外国人が就労や結婚などを理由に日本で暮らすことができるのは、入管法に基づいて日本国法務省法務大臣が相当と認められた方のみです。外国人が日本で暮らすことは日本国憲法が保証する権利ではございません。日本人が日本で暮らすことは憲法が保証しております。


日本国憲法第14条第一項
「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」
日本国憲法第25条第一項
「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」

  どちらの条文にも権利を有するのは「すべて国民」とあり、それは日本国民(日本国籍者)であって、外国人には日本国憲法を適用されないことは下記とおり最高裁判決が出ております。

マクリーン事件-昭和53年10月4日最高裁判決
「憲法上、外国人は、我が国に入国する自由を保障されているものではないことはもちろん、・・・在留の権利ないし引き続き在留することを要求しうる権利を保障されているものでもない。・・・更新事由の有無の判断を法務大臣の裁量に任せ、その裁量権の範囲を広範なものとする」

 日本での結婚ビザを希望する外国人が日本で行おうとする活動について、上陸のための基準(在留資格該当性・上陸基準)に適合しているかどうかについて審査されます。審査をする機関は外国人が活動する住所地管轄の地方出入国在留管理局です。
  多い相談例に、国際結婚された日本人の方が一か月後に外国人配偶者の母国で結婚披露宴を行い、その後に日本に連れて帰りたいので、それまでに結婚ビザを取得させたいとの事です。相談に対しては、結婚ビザの審査については出入国在留管理局の裁量ですので、申請者側が期限を決めても殆ど考慮されませんと回答させていただいております。詳細は省きますが、外国人配偶者及び日本人身元保証人の在留資格該当性や上陸基準適合性についての審査は簡単なものではないからです。


 近年の「マッチドットコム」や「ヤフーパートナー」などの出会い系サイトなどで知り合い、十分な交際(期間、直接会った回数)がないにもかかわらず、結婚し結婚ビザの申請を依頼してくる方が多くいます。早く日本で一緒に暮らしたい気持ちは理解できますが、上陸基準の適合性からそもそも交際が不足している方は証明できません。早く一緒に暮らしたいのなら、何度も外国の配偶者のもとを訪れ交際を重ねることです。早く申請したからと言って早く結婚ビザが許可されるわけではないのです。


 このような話をした際に、日本人配偶者から外国人配偶者が「来なくていいから、早く、私を日本に呼び寄せろ」と頑なに拒否されるとの相談も受けます。そのような夫婦の場合は、日本人配偶者は真剣に結婚生活を考えていても、外国人配偶者の目的が、結婚生活ではなく、日本で働くことであることが想像されます。仮にビザが許可され、外国人配偶者が日本来たとしても、数か月で日本人配偶者の元を飛び出し、仕事で稼いだお金を本国に送金しているでしょう。したたかな外国人は結婚ビザの期限が迫ると、他の日本人と結婚し更に在留を延長します。また、本当に好きなパートナーに出会えば、尚良しとし日本で幸せに暮らしていくことになります。


 上記の事は極端な例ですが、外国人配偶者の過去の在留状況に問題がある方、身元保証人となる日本人配偶者の収入について、家族を養えるだけの客観的に証明できない方についても多く相談をうけます。
 そこで、結婚ビザがどのように許可されるのかを知らないと、そもそも上陸許可基準が満たされているかの証明ができるかも判らないのです。 出入国在留管理局で結婚ビザなどの在留資格を審査するのが入国審査官です。

入国審査官とは
「入国審査官は,我が国を訪れる外国人の出入国審査,我が国に在留する外国人の在留資格審査,出入国管理及び難民認定法違反者に対する違反審査及び難民認定に係る調査など各種の審査業務等を行う」


  在留資格審査は書類を提出することで行われます。外国人配偶者や日本人配偶者が出入国在留管理局に出向いて面接を受ける事などはございません。このことは、お互いの対しての愛情や熱意などを直接訴える機会が無いのです。書類については規定の申請書などの他に、在留資格該当性や上陸基準に適合していることを客観的に示す資料も含まれます。しかし、世の中のすべての事を客観的に証明できるわけではないでしょう。また、人間は合理的判断のみで行動しているのではなく、時には感情が勝り、周りには理解不能な行動をされる方もいます。国際結婚をされる方は離婚経験がある方が多く、外国人配偶者との交際が、いわゆる不倫状態である方も多く、交際について客観的に説明すると矛盾だらけになってしまうのです。
  入国審査官には在留資格審査において広範な裁量があります。裁量の範囲で結婚ビザが許可されるかどうかの結果が異なってくることも多くあります。そこで、良い結果を得るために捕捉説明として、理由書や上申書、顛末書などを添付することになります。

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 在留資格業務を専門とする行政書士などは、在留資格該当性や上陸基準についての理解だけでなく、結婚ビザが許可されるために必要な客観的証明資料の他、証明資料が足りない時の補足説明についても過去の経験や日頃の専門勉強会などを通じて熟知しております。
  日本人配偶者の中には、偽装結婚ではなく真正な結婚であるとの信念で結婚ビザ申請を自身でなされようとしている方もおられます。これまで述べてきた通り、憲法が保証する権利ではございませんので、在留資格該当性・上陸基準適合性について客観的証明書類が足りなければ出入国在留管理局は許可しません。携わる労力と時間を顧慮すれば在留資格業務を専門とする行政書士に手続きの代行を依頼することがより良い選択だと思われます。

まとめポイント
  • 外国人の日本在留は結婚したしても、憲法の保証する権利ではない!
  • 在留資格審査は「真実の結婚」と「経費支弁能力」を疎明されているか重要!!
  • 審査では面接などは無く、客観的資料に基づいてだけでなされる。



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