
外国人配偶者が日本入国するためのビザ取得の手順!
最終更新日:2025年3月16日 行政書士 勝山 兼年
海外で暮らしていた夫婦が日本に戻るための在留資格取得方法
国際結婚後、外国での生活を送っていた夫婦が事情により日本での生活を始める場合、外国人配偶者の在留資格取得には主に3つのパターンがあります。夫婦の状況や日本の親族の協力など、出入国在留管理局での在留資格手続きには要件があり、それぞれ客観的証明が求められます。これら方法について詳しく解説します。
日本で暮らすことのきっかけになる事例
- ①日本人配偶者の勤務先から日本帰任の辞令があった。
- ②子供の日本の学校への進学に合わせて。
- ③日本人配偶者の親の世話をするために。

在留資格申請は日本在住者しかできない!?
外国人配偶者が日本の在留資格を取得する3つのパターン
- ①先に日本人配偶者だけ帰国し、外国人配偶者を呼寄せる。
- ②外国人配偶者の短期滞在ビザを取得して夫婦同時に日本に入国する。
- ③日本人配偶者の親族を代理人として、外国人配偶者の在留資格申請をしてもらう。
①はもっとも無難な方法です。日本在住の日本人配偶者が外国人配偶者を呼寄せるのと変わりません。日本人配偶者は帰国したばかりですので、収入や納税などの公的証明書はないですが、海外での収入証明や預貯金を疎明できれば問題ありません。
②夫婦が同時に日本に入国したく、かつ時間の余裕がない場合に選択すべき方法です。外国人配偶者の国籍が査証免除国であったり、マルチビザを取得済みで出ない場合は、日本入国の短期滞在ビザの取得が必要です。短期滞在ビザ申請には招へい人・身元保証人になってくれる日本在住の方が必要です。招へい人は親族に限りません。また、身元保証人のに資力の証明は不要です。

③代理人となる親族の協力が得られ、夫婦が日本で生活する為の経費支弁能力が客観的に証明しなくてはなりません。
夫婦ともに海外在住の場合は選択肢は狭い!
夫婦が日本に戻るための配偶者の在留資格取得方法比較
- | ① 先に日本人配偶者だけ帰国し、外国人配偶者を呼寄せる。 | ②外国人配偶者の短期滞在ビザを取得して夫婦同時に日本に入国する。 | ③日本人配偶者の親族を代理人として、外国人配偶者の在留資格申請をしてもらう。 |
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メリット | より安全で確実にできる。日本人配偶者の日本での仕事を確保できやすい。 | 夫婦が離れて暮らすことが無く一緒にいられる。日本人配偶者の日本での仕事を確保できやすい。※2 | 夫婦が離れて暮らすことが無く一緒にいられる。短期滞在査証申請が不要となる。 |
デメリット | 時間がかかる。一定期間は離れて暮らすことになる。 | 短期滞在ビザ※2が発給されるとは限らない。コロナ禍ではほぼ困難。 | 日本での日本人配偶者の仕事が確保できにくい。相応しい親族がいなければできない。※3 |
注意点 | 日本での公的な収入や納税証明が確保できないため、理由書などで補足する必要がある。 ※1 | 短期滞在査証の在留期間が90日間でないと、出入国在留管理局での在留資格変更申請が受け付けられない。 | 高齢な両親などに代理申請してもらうのは困難。行政書士などの取次者に申請してもらう。 |
※1長く海外在住で、日本での収入の申告していなかったり、住民税の納税を免除されている場合は、公的な収入の証明書がありません。その場合は勤務先などから海外在住時の給与支払い証明書を書いてもらうなどで対処することになります。
※2短期滞在査証の招へい人、身元保証人になれるのは日本に住民票のある者に限定される。
※3在留資格認定証明書交付申請の代理人となれる親族は外国人配偶者から見て三親等内の姻族になる。

外国人配偶者が日本入国するためのビザ取得の事例
- 夫婦同時に日本に入国し結婚ビザに在留資格変更
大手建設会社に勤務するHさんは、中国上海に駐在しています。中国籍配偶者と子供が一人の三人家族です。この度、日本本社に帰任の事例がありました。子供の就学の事もあり、中国籍配偶者の在留資格許可がなされるまで待てないので、先ずは家族三人で日本に帰国しました。幸い、中国籍配偶者は以前よりHさんの日本帰省に同行するために、在留期間が90日マルチビザを取得しており、有効期間内であったため容易に日本に入国することができました。
帰国後Fさんは勤務先近くに住居を定め、子共と共に住民登録しました。そして、中国籍配偶者の在留資格を「短期滞在」から「日本人の配偶者等」へ変更するための在留資格変更許可申請を出入国在留管理局にしました。1か月ほどで在留資格変更が許可され在留カードが発行されました。中国籍配偶者はそれを住居地役場に提示し住民登録を受けました。また、在留カードの裏に住所地の記載もしてもらいました。これで華族三人の日本での生活が始まりました。
- 親族に申請の代理人になってもらう在留資格認定証明書交付申請
インドネシアの日系自動車製造会社に勤務するFさんは、インドネシア国籍の配偶者と暮らしていました。配偶者は妊娠中でした。この度、日本勤務の辞令がありましたが、身重の配偶者を残して、日本帰国の準備が出来ずにいました。そこで、Fさんは日本で暮らす母親に代理人となってもらい、インドネシア国籍配偶者の在留資格認定証明書交付申請をしてもらうことにしました。高齢の母親は行政への手続きなどが荷が重いと考え、専門家行政書士に代行をいらしました。
行政書士の指示に従い集めた書類をもとに申請書を作成してもらい、母親が署名して母親の住所地管轄の出入国在留管理局に申請してもらいました。2か月ほどで在留資格認定証明書が交付されました。行政書士から届いた証明書をFさん夫婦は在インドネシア日本国大使館に提出し、配偶者のビザの発給を受けました。日本に入国したFさん夫婦は一旦、母親の自宅に住民登録しました。、Fさんお勤務先近くに仮住まいをしましたが、インドネシア国籍配偶者はFさんの母親宅に留まり出産後に、子供と共にFさん宅に転入手続きをして、親子三人の日本での生活が始まりました。
- 日本人配偶者が先に帰国、外国人配偶者の短期滞在ビザの発給、親族に在留資格申請の代理人になってもらう。
- コロナ禍では選択は絞られる。
- 申請代理人は外国人配偶者から見て三親等内の姻族に限定される。