結婚ビザの取消事由
最終更新日:2023年7月22日 行政書士 勝山 兼年
不法行為などの事由があればビザの取消の対象となります。
結婚ビザも言ううに及ばず永住ビザであっても不法行為が発覚すれば、取り消しとなる場合があります。偽りの内容で許可を受けたり、ビザに応じた活動をせず日本での在留を継続したり、住所地の届出を怠ったたりしたりすればビザ取消の対象となります。
取消事由(入管法第22条の4)
- (1) 偽りその他不正の手段により、上陸拒否事由該当性に関する入国審査官の判断を誤らせて上陸許可の証印等を受けた場合。
- (2)(1)のほか、偽りその他不正の手段により、本邦で行おうとする活動を偽り、上陸許可の証印等を受けた場合(例えば、本邦で単純労働を行おうとする者が「技術」の在留資格に該当する活動を行う旨申告した場合) 又は本邦で行おうとする活動以外の事実を偽り、上陸許可の証印等を受けた場合(例えば、申請人が自身の経歴を偽った場合)。
- (3)(1)又は(2)に該当する以外の場合で、虚偽の書類を提出して上陸許可の証印等を受けた場合。本号においては、偽りその他不正の手段によることは要件となっておらず、申請人に故意があることは要しません。
- (4) 偽りその他不正の手段により、在留特別許可を受けた場合。
- (5) 入管法別表第1の上欄の在留資格(注)をもって在留する者が、当該在留資格に係る活動を行っておらず、かつ、他の活動を行い又は行おうとして在留している場合(ただし、正当な理由がある場合を除きます。)。
- (6) 入管法別表第1の上欄の在留資格(注)をもって在留する者が、当該在留資格に係る活動を継続して3か月以上行っていない場合(ただし、当該活動を行わ ないで在留していることにつき正当な理由がある場合を除きます。)。
- (7) 「日本人の配偶者等」の在留資格をもって在留する者(日本人の子及び特別養子を除く。)又は「永住者の配偶者等」の在留資格をもって在留する者(永住者等の子を除く。)が、その配偶者としての活動を継続して6か月以上行っていない場合(ただし、当該活動を行わないで在留していることにつき正当な理由がある場合を除きます。)。
- (8) 上陸の許可又は在留資格の変更許可等により、新たに中長期在留者となった者が、当該許可を受けてから90日以内に、出入国在留管理庁長官に住居地の届出をしない場合(ただし、届出をしないことにつき正当な理由ある場合を除きます。)。
- (9) 中長期在留者が、出入国在留管理庁長官に届け出た住居地から退去した日から90日以内に、出入国在留管理庁長官に新しい住居地の届出をしない場合(ただし、届出をしないことにつき正当な理由がある場合を除きます。)。
- (10) 中長期在留者が、出入国在留管理庁長官に虚偽の住居地を届け出た場合。
取消事由の概要
虚偽・不正な申請による在留
- 不法入国、不法上陸
- その他不正手段
- 文書等の偽造
- 虚偽申告での在留特別許可
正当な理由なく活動をせず在留
- 在留資格に応じた活動をせず3か月以上在留
- 配偶者としての活動をせず6か月以上在留
住居地届出違反
- 入国後90日以内に住居地の届出をしない。
- 転居後90日以内に新住居地の届出をしない。
- 虚偽の住居地の届出
結婚ビザにかかわる取消事由の注意点
離婚後の6か月以上の在留は認められていない
在留資格「日本人配偶者等」で在留する者で、離婚後正当な理由なく6か月以上在留を継続すると取消事由の対象となる恐れがあります。これは在留の期限まで6か月以上の期間が残っていたとしても、在留できるのは離婚後6ヶ月以内という意味です。6か月以上在留していたとしても、別の日本人との結婚準備をしているなどなら正当な理由として取消の対象にはならないでしょう。
別居をしている場合
配偶者の身分の在留資格の者が、6か月以上別居している場合は法的に離婚していなくても、夫婦としての活動していないとみなされ取消事由とされます。ただし、配偶者の暴力での一時的な避難であったり、病気治療や子供の教育上など正当な理由があり、今後正常な夫婦関係の回復が見込める場合では取消とはなりません。
活動を辞めてからの結婚準備に認められている期間
「技能実習」や「留学」での在留資格で在留する者が、実習先を辞めたり学校を退学した場合に正当に認められるの3か月だけです。これを超えて在留する場合は取消事由の対象となりかねません。結婚相手が3か月以上在留しているのでしたら、一度本国に帰国することを進めましょう。3か月を超えても具体的に結婚手続きを進めていることが証明できればその限りではありません。
転居後に届出をしない。
入管法で住居地に住民票を定めなくてはならない決まりがあります。転居後14日以内に役所の窓口で転出・転入届をしてください。90日以上放置すると在留資格取消の対象となります。
取消の手続き
法務大臣が取消事由に該当する者に取消しよう行う場合は「意見聴取通知書」を当該外国人に送付します。通知書には日時と場所が指定されています。
意見聴取には代理人を選任することも認められています。正当な理由なく期日に出頭しなければ、法務大臣は取消を決定することもできます。
意見聴取の結果在留資格が取消となった場合は30日以内の期間がしてされその期間内に出港することになります。出国までの間、就業禁止や労や住居、行動制限が課せられます。 偽りの申請で在留資格を取得した場合は退去強制の処分を受けることもあります。
「日本人の配偶者等」は他の在留資格変更が認められる
「日本人の配偶者等」や「永住者の配偶者」などの配偶者の身分の在留資格の者で、6か月以上活動を行わなかったことを理由とする場合の取消では、在留資格「定住者」などへの在留資格変更申請が認められます。
- 不法行為があれば在留資格取消事由となる。
- 配偶者の在留資格の者は他の在留資格に変更できる。
- 取けしになれば30日以内に出向することになる。