上申書、顛末書が必要なときとは?

最終更新日:2025年3月29日   行政書士 勝山 兼年





過去の在留状況が不良のときにする説明!

 結婚ビザ申請において、外国人配偶者の過去の在留状況が不良であった場合は、そのことについて何ら説明・反省をせずに申請をしても、「申請内容に信ぴょう性がない」との理由で不許可となります。
  在留状況不良とは偽って日本に在留していたとみなされ、これから将来の結婚生活も偽りであると斟酌されるのです。日本人との結婚がどれだけ真実であっても、退去強制などの処分を受けていなくても、在留の経緯から不良であるとみなされれば、入国審査官は許可をしないのです。また、偽りの内容で在留資格申請をしたことがあれば、消極的に斟酌されます。




在留状況が不良とみなされる事例

 在留状況が不良だったとみなされるのは、在留資格に応じた活動をしていなかった期間が決められているものを超えて在留していたからです。合理的理由を客観的に説明できるのであればよいのですが、なんとなく日本に残りたかっただけでは在留資格取消事由に相当するのです。



  • 留学生が学校を辞めてもアルバイトを続けていた。
  • 就労の在留資格の者が、相当性のない仕事をしていた。
  • 技能実習生が実習先を飛び出して、別の仕事をしていた。
  • 配偶者に係る在留資格のものが、離婚死別後も6か月を超えて在留していた。


 これらの事由がある場合は、在留状況不良に至った経緯や理由を正確に文章にして提出する必要があります。空虚な反省文は必要ありません。事の顛末を詳細かつ具体的に記載し、どの部分が法令や在留資格制度に反するのかを理解していると記載したうえで、二度と繰り返さないと誓う旨の文章が上申書・顛末書です。
 在留状況不良に至った理由が上申書であり、その経緯を時系列に記載したものが顛末書になります。上申書として一つにまとめてもかまいませんがより長期間在留状況不良であったのなら顛末書に別けて作成した方が良いでしょう。過去、法令違反や入管法違反で退去強制処分を受けたのであれば、より詳細に記載する必要があります。


具体的な内容とは

 顛末書において具体的に記載するとは、働いていた店や会社の名称や住所、仕事を誘ってくれた者の名前、一緒に在留状況不良だったものの名前、暮らしていた住所、同居していた者の名前などです。仲間を庇って誤魔化すと真に反省していないとみなされ、許可させれないでしょう。

記載すべき在留状況が不良になってからの具体的な行動
  • 居所の住所、同居者、部屋の賃借人名義。
  • 勤め先を紹介してくれた者の情報とその者との繋がり、関係など。
  • 勤務先の会社名、業務の内容、職場の不法滞在者などの情報。
  • 収入の額、仕送りの頻度や額。
  • 日本人配偶者を出国しようとしたきっかけや動機など。

 具体的とは人の名前、住んでいた住所、勤務先の会社名、従事した業務の内容、仕事を紹介してくれた者の氏名やその者とのつながりなどです。同居者や 職場に外国人がいた場合はその氏名や人数なども必要です。


上陸拒否期間中である場合

 外国から呼び寄せる在留資格認定証明書交付申請のおいて、退去強制処分を受けた者や上陸拒否事由に該当する行いをした者の場合は、上申書や顛末書を提出したとしても許可される可能性は低いです。しかしながら上陸拒否期間を経過して後で申請しても、通常と同様に許可されるわけではありません。正確で具体的かつ詳細な上申書・顛末書が許可の成否を左右するのは当然となります。



結婚ビザ申請で上申書、顛末書が必要な事例

 技能実習先を飛び出した者との結婚ビザ申請

日本人男性Nさんはベトナムに旅行した際に、立ち寄った日本食レストランで流暢な日本語で対応してくれたベトナムLさんと知り合い、深く交際するようになりました。半年ほどして結婚し、Nさんは自身が代理人として出入国在留管理局に在留資格認定証明書交付申請をしました。結果は不交付でした。Nさんは出入国在留管理局に出向き理由を尋ねたところ、出入国審査官より、Lさんが過去に日本で技能実習生として在留していた時の行動に問題があるとのことでした。
  NさんはLさんに過去の日本在留について問いただすと、実習先会社から失踪し、在留期限ギリギリまで不法に働いていたとの事でした。10年前の事で、出入国在留管理局には記録が残っていないと勝手に判断し、Nさんには告げなかったようです。Nさんは専門家行政書士に申請を依頼しました。行政書士の聞き取りによりLさんの実習先失踪後の顛末について、書類を作成してもらいました。それら資料を追加し、再申請したところ、ようやく在留資格認定証明書が交付されました。


 別の日本人と結婚していた者の結婚ビザ申請

 日本人男性Tさんは、スナックで知り合った従業員の中国人Rさんと親しくなり、何度も店を訪れていました。Rさんが突然店から居なくなり、店主に理由を聞いたところ、在留資格の延長が認められなくなり中国に帰国したとのことでした。TさんはRさんと連絡を取り、事情を聞いたところ、日本人の夫とは長く別居していて、在留資格相当性がないことが理由で在留期間の更新が不許可になったとのことでした。その後、Tさんは中国のRさんのもとを何度も訪れ交際を深めました。Rさんが前配偶者とは離婚しましたので、TさんとRさんは結婚しました。
 TさんはRさんを日本に呼び寄せることが、容易ではない申請だと判断し、専門家行政書士に代行を依頼しました。行政書士はRさんから聞き取りをして、別居に至った経緯や別居後の居住地や従事した仕事の内容を記載した上申書を作成しました。そして、出入国在留管理局に在留資格認定証明書交付申請をしたところ、無事、認定証明書が交付されました。


まとめポイント
  • 在留状況が不良のときに提出する。
  • 具体的かつ詳細な内容にする。
  • 反省より法令順守の誓約が大事。



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