
上陸特別許可とは!?
最終更新日:2025年3月14日 行政書士 勝山 兼年
過去に在留資格においての処分を受けた者の、上陸許否期間中の日本入国手続き!
オーバーステイ等で「退去強制」処分を受けているなどの事情がある場合には、出入国管理及び難民認定法第5条第1項に定める上陸拒否事由に該当との理由を付されて、日本への入国が認められない場合があります。
出入国管理及び難民認定法第5条第1項とは、日本への入国が拒否される事由を規定したものです。つまり、上記の理由が付されたということは、日本国にとって好ましくない外国人であり、他の事情にかかわらず、日本国の利益のために当該外国人の入国を認めないということなのです。
しかし、法務大臣は「特別に上陸を許可すべき事情があると認めるときは、その者の上陸を特別に許可することができる」としており、法律上、日本に戻ってこれない期間内の人でも例外的に戻ってこれる場合があります。これを「上陸特別許可」といいます。
この許可を得るのはとても難しく、手続き自体は、通常の認定証明書交付申請と同じ形ですが、実際には、申請理由書や嘆願書等々様々な添付書類をつけ、真摯にお願いすることになります。

上陸拒否事由
通常は外国人配偶者が上陸拒否事由「出入国管理及び難民認定法第5条」に該当していると、結婚ビザ=在留資格認定証明書は交付されません。

上陸拒否期間
◆オーバーステイにより退去強制 | ||
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原則 | 5年 | 入管法5条1項9号ロ |
出国命令で帰国 | 1年 | 入管法5条1項9号二 |
過去に退去強制歴有 | 10年 | 入管法5条1項9号ハ |
裁判となり1年以上の懲役 | 永久 | 入管法5条1項4号 |
◆資格外活動により退去強制 | ||
5年 | 入管法5条1項9号ロ | |
◆麻薬等関係で退去強制 | ||
麻薬、大麻等により刑に処せられたこと有 | 永久 | 入管法5条1項5号 |
麻薬、大麻等を不法に所持 | 永久 | 入管法5条1項6号 |
麻薬、大麻等を不法に所持することを理由に上陸拒否有 | 1年 | 入管法5条1項9号イ |
◆売春を理由に退去強制 | ||
永久 | 入管法5条1項7号 |
上陸特別許可のポイント
配偶者のビザが許可されるかどうかは、早期に日本に入国しなければならない人道的な理由の有無のほか、退去強制処分を受けた理由、過去の出入国歴、刑事処分の有無により判断されます。画一的な基準はなく、法務大臣の裁量により判断されます。
上陸拒否期間5年の処分を受けているケースでは日本出国後に三年経過、日本人との結婚後に一年経過していれば、許可を前提に審査してくれるようです。
上陸特別許可を前提とした結婚ビザ=在留資格申請から入国

上陸拒否期間中の方と結婚をお考えであったり婚約者、配偶者の方が 退去強制処分を受けて帰国をされたのであれば、ご相談ください。 |
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必要な書類の種類、情報、申請を行う時期、許可不許可を分ける審査上のポイントをご説明いたします。(一定の特殊事情がある場合には、複数回の申請を要することが考えられます) |
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地方出入国在留管理局にて申請。(行政書士が代理で行いますので、お客様に 出頭していただく必要はありません。) |
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申請が不許可になった場合、出入国在留管理局の審査官と面会し、確認を行い ます。 |
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不許可の理由を確認した後、再申請に必要な資料の準備、情報の確認および申請時期を決定します。(通常半年から1年は期間をあけます。) |
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申請が許可された場合は、在留資格認定証明書が交付されます。 |
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届いた書類を外国に住む配偶者の方へ送り、配偶者の方は、認定証明書と必要書類を添えて、現地の日本国領事館へビザ(査証)の申請を行います。 |
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ビザが取得後の来日の際、飛行機の便が決定したら、事前に出入国在留管理局へ連絡をします。(空港の審査官へ事前に通知し、上陸特別許可の手続きの準備を行うため)。 |
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上陸審査では、別室にて口頭審理等が行われた後に上陸が許可されます。 |
上陸を特別に許可された事例
- 日本人と結婚し出国後3年経過して場合
日本人Tさんは、職場でアルバイトをしていたベトナム人留学生と交際していました。お相手ベトナム人がアルバイトを辞めたことをきっかけに、会うことは無くなりました。2年ほど経過した後にお相手ベトナム人より連絡があり、不法残留で摘発を受け退去強制により、ベトナムに帰国しているとのことでした。それから交際が再会し、Tさんは何度かベトナムを訪れました。そして、お互いは気持ちは離れがたく結婚手続きをしました。
Tさんはお相手ベトナム人の在留資格認定証明書交付申請をしましたが、直ぐに不交付の通知がありました。不交付の理由を出入国在留管理庁審査官に確認すると、上陸拒否期間中であるとのことでした。Tさんはお相手ベトナム人と日本で暮らすことを諦められないので再申請をする事に致しました。ただ、やみくもに申請しても結果は変わらないと考え、専門行政書士に申請を依頼しました。行政書士からはお相手ベトナム人が日本を出国した日から3年経過、また、二人が結婚した日から1年経過を待って申請することを勧められました。
行政書士の指示どりの期間を経過したうえで、再申請をしてもらったところ、無事に在留資格認定証明書が交付されました。お相手ベトナム人が日本に受上陸する際には、必ずTさんに出迎えに来てもらうよう出入国在留管理局審査官から指示がありました。
Tさんはお相手ベトナム人が上陸する空港に出向き、ゲートから出てくるのを待っていました。そして、上陸審査のエリアに呼ばれ、いくつかの質問を受けた後、無事、お相手ベトナム人の上陸が認められ在留カードが発給されました。Tさんの住所地役場でお相手の住民登録をしたうえで、二人の結婚生活がスタートしました。
- 上陸拒否期間は1年、5年、10年、永久がある。
- 日本出国後に3年経過、日本人との結婚後に1年経過していれば、許可を前提に審査してくれる。
- 日本出国後に3年経過、日本人との結婚後に1年経過していれば、許可を前提に審査してくれる。